第3舞台 シーン1 |
エビQ王が八郎湖周辺を統一しエビQ王国を設立して5年が過ぎた。
シジミ貝は毎年豊漁、野菜も自然のままの曲がったものばかり。発泡スチロールトレーは撤廃され、市場では雑然と置かれたドロ付の野菜。
市場で仲買する人は影で王様の批判を始めていた。 |
第3舞台 シーン1-2 |
王様批判の声はあちこちで広がり、いつしかクーデターの仲間ができていた。
そうとは知らない王国の大臣、執事たち。毎日変化のない生活に飽き飽きしていた。 |
第3舞台 シーン1-3 |
クーデターを指揮する仲買爺は以前から王様を嫌っていたバスとギルを仲間に加え、料理の鉄人に仕立てる。
バスとギルは最初嫌がっていたが、自分たちの居場所が狭まり、打開策を考えていたバスがまず仲買たちの策に乗り、お調子者のギルも次第にその気になっていく。 |
第3舞台 シーン2 |
毎日潟の魚や貝ばかり食べて飽き飽きしていたエビQ王は侍女たちについ本音を漏らす。
しかし、賢い侍女たちに諭され、ヤケになってシジミ貝を食べると叫んでしまう。 |
第3舞台 シーン3 |
王様が毎日の生活に飽き飽きして、いらいらしている様子を心配した大臣たちは妙案を考えた。
町中におふれを出した。
「珍しい食べ物を持って参れ」。
反乱を企てる仲買人はこれを利用して大臣に料理の鉄人としてバスとギルを紹介する。
まんまと料理の鉄人に化けたバスとギルは大臣に気に入られ王様の御前に。
風変わりなバスとギルに興味を持ったエビQ王はすぐに採用する。 |
第3舞台 シーン3 |
その夜、王は夢を見た。
5年前、マダムを失い、野菜や潟の魚たちと戦った日々。
私は今何をしているんだ。
亡くなった父が自分を叱咤するように遠くで自分の名を呼んでいた。 |
第3舞台 シーン4 |
翌日。
バスとギルは早速王宮の厨房に入り、料理の準備に入った。
仲買爺から授けられたアイデアは「頭の悪いものには見えない料理」。
王様も大臣も見得があって見えないとはいえず、まんまとだまされてしまう。
エビQ王を倒すために毒ガスを料理に仕込む料理人たち。
そこへ大臣が視察に来た。 |
第3舞台 シーン5 |
突然入ってきた大臣たちに臆することなく見えない料理を勧める料理人たち。
大臣たちは見えないとは言えず口を濁らす。
料理人たちは、さも料理があるかのように料理の状態を誇らしげに説明する。
口のうまい料理人たちに大臣たちはそこに料理があるかのように振舞ってしまう。 |
第1舞台 シーン6 |
一方、アケビのいる離宮では彼の家来となったチカ、ウナギ白魚が彼を慰めていた。
自分の風の術が未熟だったために父もマダムも助けることができなかった。アケビはそのことでずっと悔やんでいた。
毎日潟に行っては父に教えられた風の術を練習していた。それが彼の唯一の慰めだった。
ある日、何気なく風の術を試すアケビ。すると花瓶が飛んだ。ついに風の術を習得したアケビ。
喜ぶ間もなく浦の婆様から不穏なお告げが来た。 |
第3幕 シーン7 |
王宮の晩餐会が始まった。
晩餐に招かれた国民たち。しかし次々と運ばれる料理はどんなに眼を凝らしても見えなかった。
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第3幕 シーン7-2 |
大人たちは口々にすばらしいと言う。しかし、子供たちは正直、ついに我慢できず「見えない」と叫んでしまう。
大人たちは大臣たちにおこられるかとハラハラ。 |
第3舞台 シーン8 |
うるさい国民を追っ払った大臣は取って置きの酒を飲み上機嫌。
そこへ料理人はメーンデッシュとしてエビの料理を持ち込む。
他の料理は見えなかったのにエビの料理は見える。大臣は思わず「見えた」と叫んでしまう。
美味しそうな料理に思わず手を出そうとする王様。 |
第3舞台 シーン9 |
その様子をカーテンの陰で見ていたアケビ。タイミングを見計らって姿を現す。
王の注意を巧みにはずして毒ガス入りのエビフライを奪い取る。
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アケビの様子に危険を感じた料理人は逃げようとする。
アケビはすかさず料理人の準備した毒ガスを料理人たちにかけて謀反を未然に防ぐ。
しかし、仲買人たちクーデター仲間は蜂起した。遠くからドラや歓声が聞こえてくる。
大臣たちはうろたえ逃げ惑う。 |
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アケビの部下たちがクーデターの様子を知らせに王宮へ駆けつけた。
風の術がクーデターを企てた一味をあっという間に吹き飛ばした。
クーデターは失敗した。
自分が王位を譲るときが来たことを悟ったエビQ王は弟アケビに王位を譲り、大臣たちも解雇してしまう。 |
第3幕 シーン10 |
エビQ王が旅立とうとする日、新王アケビが見覚えのある者を連れてきた。
マダムキューリーだった。
夜叉袋様がマダムを生き返らせてくれたのだ。
エビQはマダムと共に全国行脚の旅に出た。
反逆者は一掃された。アケビ王が停滞していた市場の活気を取り戻した。王国は甦った。 |
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