2001年10月の活動
-　2001/10/07　-

2001年度　第6号

八郎湖浄化作戦　Ⅰ

浄化用植物を選択するための予備実験開始

八郎湖湖水浄化作戦　Ⅰ 記録　児玉亮
1.きっかけ　メビウスホームページを通して知り合った金芳晴先生01と飲食する機会があり、先生のご専門である「ミチゲーション02」という観点から、八郎湖周辺の環境問題についてゆっくりお話した。その中で、地元の中学生に対して来年度の事業として環境問題を講演していただくことになった。　早速、翌朝中学校校長、担当の先生に面会し、事情を説明したところ「来年度とは言わず、今年の3月にお願いできないか」という展開となった。東京に帰られたばかりの金先生に連絡を取り了解を得て、3月の初旬に講演をお願いできることになった。メビウスと公民館、商工会青年部との共催で一般講演も同日お願いした。　講演会では中学生に前もってアンケート調査していて、その結果を元に講演したそうだ。八郎潟中学生の関心が高いことを金先生は感激し喜んでおられた。　公開講演後の懇親会席上、金先生にはメビウスの特別講師となっていただき、今後 5年計画で環境問題を考えていくことになった。　5月のメビウス定例会で、環境の勉強と同時に実際に行動も開始しようという声があり、浄化するための筏を湖水に浮かべようと言うことになった。　　　　　　2.準備　まず今回は、「八郎湖の湖水浄化にはどんな植物が適しているか」という課題に対し、実験で確かめることになった。 3月の公開講演では、湖沼の浄化に一番適しているのはマングローブということであったが、残念ながらマングローブは暖かい地域の植物で静岡県が北限であるという。マングローブと柳を交配して寒さに強い浄化植物を作る説も出たが、今回は入手しやすく八郎湖畔に自生している柳の木を選択する事とした。　実験開始に当たり、メビウスのような任意団体が八郎湖に筏を浮かべ、植物を植えて水質浄化の実験する事が許可申請などが必要かどうか確認するため、北嶋公民館長の紹介で県庁の北嶋哲彦氏03に面会することとなった。　面会には斎藤伸義04と相馬力美05が向かった。その結果、①県では様々な調査をしているが、浄化実験を継続的に続けるために地元の団体の協力が必要であり、今までそのような団体が存在しなかったために実際の行動が行われていないこと、 ②現在の八郎湖は馬場目川の河口という河川としての扱いとなっていて、厳しい規制があることなどが分かった。　　　　　　3.調査今回の実験に用いる植物として、柳の他は畑澤忠司06に選定してもらい、挿し木と植木用のポット、砂利と籠を準備してもらうこととなった。当初はツブ貝やシジミ貝も同時に実験する予定であったが、準備が間に合わなかったため次回に延期した。　筏は材料を斎藤伸義が準備し、資料として金芳晴先生に教えて戴く一方、インターネットで資料集めを児玉亮*07が担当することになった。	***************************** －　文中の解説　- 01）金芳晴　国土開発研究所長、技術士、東京都在住、八郎　潟町浦大町出身、 02）ミチゲーション　環境の被害を極力減少させ、修復し、償うためにとられる行為であり、被害を受けた地域に再び植生をしたり、生物の生息環境を創造する活動 03）北嶋　哲彦　県生活環境文化部環境政策課水質班主管、八郎潟町在住 04）斎藤　伸義　メビウス事務局長、斎藤建材、八郎潟町在住 05）相馬　力美　メビウス事務局顧問、八郎潟町学童保育指導委員、　八郎潟町在住、 06）畑澤　忠司　メビウス会員、畑澤造園、八郎潟町在住 07）児玉　亮　メビウスOB、児玉医院歯科、八郎潟町在住 08）伊藤　一　メビウスOB、イトウ住宅、八郎潟町在住 09）藤田　靖仁　メビウス会員、藤田建匠、八郎潟町在住、 ****************************
4.実験　6月の定例会で筏製作は7月15日（日）に決定。場所はロマンの里、朝9時集合となった。当日は上々の天気。　斎藤（伸）、伊藤　一08、藤田靖仁09の相談の結果、筏は25㎜厚のスタイロフォーム（発泡ウレタン板）を2枚を張り合わせ、その上下を防水ベニアでサンドイッチに合わせた形にした。台風などの風で破損することを懸念して、当初の予定よりもかなり強度を持たせることにした。　筏に直接穴を空けて籠を入れそこに砂利を入れて柳の枝を差し込むという作戦だ。　当日持ち込まれたのは、雲竜柳と柳、それにイタチ萩の3種。潟波で砂利が崩れないように紐を編み目に掛けたり、建材のウレタンフォーム充填剤で籠の隙間を埋めて抜けないようにしたりと、参加者が様々なアイデアを出して筏は完成した。　筏を浮かべた場所は三枚橋河口からやや北側の葦原の中。藤田持参のゴムボートに斎藤（伸）、藤田、児玉が乗り込み筏を沖の葦の中に設置した。　筏の両端にヒモを縛り、竹竿を水底に差し込んでそれをアンカーにして結んだ。さらに10kg程度の石をヒモで結んでアンカーにした。　　　　　　5.実験結果　10月7日（日）、浄化筏を引き上げることになった。浮かべてから約3ヶ月、途中で会員が何回か確認していて、かなり成長していることは分かっていたが、実際に引き上げて、びっくり。　10㎝足らずの枝がなんと120㎝まで伸び、根は放射状に80㎝くらいに伸びていた。　特に雲竜柳の生長が著しく、幹は防水ベニアに食い込むように育っていた。直径は太いところで2㎝近くになっていた。湖畔で植えたマコモは60㎝くらいまで成長していた。イタチ萩は残念ながら消失していた。　柳の根にはアメリカザリガニがへばりついていて、筏が新しい生活環境を提供していたことが伺えた。又、浄化筏は破損が無く、そのまま次年度も使用できそうだつた。　今後は、この結果を踏まえ、これからの環境問題についてさらに研究していきたい。

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