一日市の踊り
一日市には(一日市)盆踊りのほかに願人踊り(県無形)が伝わる。
秋田県内では数少ない門付(かどつけ)行事で、毎年5月5日に行われる。
この踊りは,他人に成り代わって願掛けをする願人坊主が流布した芸能といわれる。
一日市願人踊りの発祥は幕末維新期と新しく、踊りの所作や曲節は伊勢音頭に似ている。
当地の若旦那連中が諏訪神社で歌舞伎芝居を演じていたのに対抗して、冷飯の若者たちがこの願人踊りを演じて以来のことという。
古くから伝承されていた豊作祈念踊りに伊勢音頭の踊り方と定九郎の狂言歌舞伎を取り入れたと伝えられる。
踊り手は歌舞伎芝居の役者をのぞき,全員が女物の襦袢(じゅばん)を着用する。
右手右足、左手左足を一緒に動かす特異なしぐさが組み合わさっているこの踊りは、「一直踊り」とも呼ばれている。
なかに歌舞伎芝居「仮名手本忠臣蔵」が挿入されているのも特色の一つである。
山川出版『秋田県の歴史散歩』から
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